大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)2136号 判決
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〔判決理由〕得べかりし利益の損失について検討するに、<証拠>によれば、原告が前記会社から支給された賞与の額は、昭和四一年夏期は四万八〇〇〇円、同年末は四万五〇〇〇円、同四二年夏期は三万五〇〇〇円、同年末は四万五〇〇〇円、同四三年夏期は四万六〇〇〇円、同年末は五万七〇〇〇円であつたこと、定期昇給の額は昭和四二年、同四三年いずれも月額二〇〇〇円であつたことが認められる。そうして右甲第六、七、八号証には右各金額に対応して、原告主張の通りの、通常に勤務していた場合の賞与の予定額、昇給の予定額の記載があり、右小山証言によると、その数字は、原告が通常に勤務したならばという仮定の事実に立つて、前記会社において作成したものであると認められる。しかしながら、右小山証言および原告本人尋問の結果によれば、同会社においては課長職以上の管理職の賞与の額、昇給額を定めるについての一定の基準といつたものはなく、その都度役員の協議により適宜きめていたものであること、右会社の課長職は当時原告一人であつて、原告と対比できるような社員はほかになかつたことが窺われ、そうだとすると、被告の賞与額、昇給率も右会社の経営状態、原告の能力、勤務成績、勤務態度、その成果等の諸事情が総合勘案されて決定されていたものであつて、単に原告の出勤日数がその実際よりも多かつたとしたら、当然にそれに比例して高くなるという単純なものではなかつたといわなければならず、してみると、前記各号証に記載されている数字はさほど蓋然性に富むものとはいえない。従つて、かような蓋然性に乏しい推測に基づいて算出された前記得べかりし利益の損失(請求原因三(三)2ないし8)はこれを認容することができない。もつとも、前掲各証拠を総合すると、原告は本件受傷による欠勤の結果、賞与額、昇給額等の面でなにがしかの不利益を被つたことは認められるから、その点は前記二(三)の慰藉料額の判断に当り斟酌した。
(林泰民)